こんにちは。金蘭千里中学校です。
6年間の長い学校生活。
当然、順調なときばかりではありません。
他校に比べてテストの多い学校でもありますし、
なかなか思うように結果が出ず、
真剣にやっているだけに思い悩む生徒も出ます。
30人の少人数学級で編成されている本校では、
まず各クラスの担任が、失調している生徒に
声をかけ、話を聞くことになりますが、
もちろん、専門家の方にも来て頂いています。
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1階・保健室のとなりにあります |
ここが、本校のカウンセラー室です。
スクール・カウンセラーの葉山先生が、
生徒・保護者・教員の相談に乗ってくれます。
今回は、本校の卒業生でもある葉山先生に
お話をうかがってみました。
「もしも」のときのバックアップ体制について
みなさんにお伝えしたいと思います。
――本校が先生のお世話になっているのは、いつからですか。
「平成14年から来ています。最初は、問題を抱えている
生徒の担任の先生に助言をして欲しいということでしたが、
先生方から生徒と直に話もして欲しいと言われるようになり、
現在のかたちになっています」
――相談の内容には、どんなものがありますか。
「学校に来づらくなったという相談が割合としては多いです。
生徒さん本人だけでなく、保護者の方が来られることも
あります。この学校は、お父さんがいらっしゃることも
多いですね」
「直接、生徒さんが学校に来られなくなったことについて
話さなくても、例えばお母さんがご自分のことについて
ひとしきりカウンセラーにお話しになって、
すっきりして事態が好転していくということもあります。
家族や先生に言えないことを話す相手になるというだけで、
カウンセラーが機能することも少なくありません」
――なるほど。必ずしも「解決策を授ける」という感じではないんですね。
「そうです。何について悩んでいるのか聞き届けてあげて、
そのことで悩んでいること自体は特段悪いことではない、と
伝えるだけでもだいぶ楽になって、『カウンセラー室に
通うつもりでしたけど、今日一回だけでいいです』と
言ってくれた生徒さんもいました」
「その生徒さんの性格の傾向を整理して、
『得意そうなこと』『苦手そうなこと』を
考えるということもやりますね。
必要に応じて、外部の機関を紹介することもあります」
「いずれにせよ、もともと担任の先生が
よく面倒を見る学校なので、
他校ならカウンセラー室に回される件が、
各クラスで解決していることも多いのではないかと思います」
――10年以上お世話になっていますが、何か変化は感じられますか。
「大きな傾向としては、深刻な、重たい相談が
減ってきていると言えそうです。
基本的には良いことだと思いますが、
裏を返せば、最近の子はちゃんと悩まない、
悩めない、ということを表しているのかもしれません。
私はほかの学校でも仕事をしていますが、
全体的な傾向として、若者が葛藤を避けたり、
問題にそもそも気づいていなかったり、という
ことが増えているように感じています」
「ただ、この学校のことについて言えることとして、
近年校風がオープンな感じになってきて、
ストレスを感じづらくなったということは
かなり大きいだろうと思います。
クラブ活動も活発になったようですし、
生徒さんに居場所が増えるのは、
精神的にもいいことですよね」
――どの時点で、カウンセラーに相談するか迷う人も多いと思うのですが。
「『こんな細かいことの相談で来ていいのかな』と
いうくらいで来てもらって、全然構いませんよ。
ちょっと話をして、『なんだ、大丈夫じゃない』と
相談者が笑って終われるのが、ベストですから。
カウンセラー室に来ることができるというのは、
それだけで解決への意思と能力がかなりあるという
ことなんです。実際にはそこまでが大変だったりするので、
遠慮せずに、利用して欲しいと思います」
私も特に新米教師の頃は、葉山先生に相談に行ったものでした。
スクール・カウンセラーの存在が、
生徒にも教員にも、何枚もの安心を与えてくれているのです。
カウンセリングは、改まった厳かな診察というよりは、
本当にフランクな対話で成り立っています。
葉山先生は本校の卒業生でもあるので、
行事からテストの仕組みにいたるまで、
よく事情を理解しながら話を聞いて下さいます。
問題・課題を抱えている生徒も引き受けてこその、学校ですよね。
金蘭千里は、とことん、生徒と苦楽をともにします。