夏休み終盤戦、8/19に最先端の医療産業化拠点「中之島クロス」さまの見学に行きました。中2~高2の希望者しめて12名でご訪問。産業化拠点といっても、研究機関や研究環境を整える企業、病院やクリニックなどが多数入っている施設で、新しいテクノロジーを実現するのに必要なさまざまな組織が緊密に協力できるようになっている点が大きな特徴です。現在万博のパビリオンでミャクミャクと鼓動を続けている心筋シートもこの施設の理事長である澤芳樹先生が監修されたものです。
このたび中之島クロスさまのご厚意で本校にお声かけいただき、一日がかりのロングツアーを実施していただけました。医療を志す生徒の多い本校ですが、お医者様だけで成り立つ領域ではなく、様々な角度からの尽力があってこその営為であることを身を以て感じてもらえる体験となりました。
最初にオープンスペースで施設のご紹介。未来医療の産業化拠点としてどのような特徴をもっているか、丁寧にご説明いただきました。
最初に京都大学iPS細胞研究財団さまの見学。iPS細胞のような新技術が発見されても、それを作り出す手段が効率化されなければ、現実的な費用での治療として世の中での実用は叶いません。現在、中之島では、iPS細胞の自動製造の研究が行われていて、患者さん本人の細胞から安価に短期間で製造する「my iPSプロジェクト」がスタートしています。
続いて日立プラントサービスさまの見学です。無菌室やVRでの作業訓練装置など、研究を安全で効率的に進めるための施設を作る大切な役割を果たされています。フィクションで見かけたような近未来技術がすでに実際に用いられている! というところに参加生徒も大いに驚いたようすでした。
つづいて、医薬品医療機器総合機構(PMDA)関西支部さまをご訪問。新しいお薬や医療機器が製品になるための審査・承認をしたり、安全性のチェックをしたり、薬の副作用などで被害があったときの救済などを行ったりしている、厚生労働省の監督下にある機関です。新しい技術には安全性の問題が必ずついて回りますが、チェックする機関も同じ施設に入っているならば、とても安心ですね。
昼食休憩中には、ホンダUNI-ONEの試乗も。腰掛けたまま体重移動でコントロールできます。少しだけコツが要りますが、いろいろな障壁を取り除けそうな便利な乗物です。
実習は、ピペッターを用いた模擬培養液の作成でした。学術研究を目指すとなると、みんなもっぱら学科の勉強のことを想像するのですが、実際の研究活動では手技もとても重要になります。こうした体験を通ると、話に聞くばかりだった研究活動の実態が感覚的に理解されます。
実習後は、京都大学iPS細胞研究財団とフォーシー社の方と質疑応答の時間となりました。大学院に進学する意義や生物を用いた研究活動の実態など、かなり突っ込んだことを聞く質問が続き、生徒たちにとっては将来の可能性をイメージするのに素晴らしい刺激をいただけました。
一日をかけて、一つの学究領域にさまざまな側面があることを実感できました。この日は医療に関わるさまざまな営みを見学させていただけましたが、他の領域でも同様の広さがあるだろうことを想像してもらえればと思いました。
改めまして、貴重な機会をいただきまして、ご関係の皆様にこの場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。