2015年4月17日金曜日

三十一文字のメッセージ

こんにちは。金蘭千里中学校です。

今日は、昨年度の中一生が作った短歌をご紹介いたします。

正岡子規が生まれた松山市では、
毎年「はがき歌」全国コンテストを実施しています。

昨年11月に、本校の中一生が、はがきに三十一文字のメッセージを託しました。
全国から10,000首規模の応募があったそうですが、なんと本校から佳作・秀作に
あわせて5首の作品が選ばれました。本校の現中二生は156名。
佳作は全国でも100首ほどだそうですから、たいへんな成果です。
国語の先生はどんなすごい指導をしたのか? 早速うかがってみますと、

「清書にあたっては字を丁寧に書きなさい」

だけだったそうです……。
確かに大切なことだけど、本当にそれだけかなあ。
さっそく入選作を見て、指導のヒミツが他にもないか、探ってみましょう。
「はがき歌」ですので、短歌に宛名がついています。
誰に宛てて詠むのか。これも、作品の出来を左右しそうです。

では、秀作から順に、鑑賞してみます。


【秀作】
小さい弟へ――
いいよなああんたはトイレに行くだけで先は「東大」とほめられて
(本校現中二・飯田透子)

少し屈折したところを率直に表現できているからこそ、
チャーミングになっている作品ですね。
ご家族の「東大」という大仰な褒め言葉に、
小さな弟ちゃんへの大らかな期待が感じられます。


【秀作】
ぼくが行く通学道のもみじ葉は赤に黄色ににしきおりたり
(本校現中二・永田明彦)

「にしきおりたり」という雅びた言い回しが目を引きます。
紅葉と錦を結んだ有名な歌は、菅公の百人一首など、
古くから枚挙にいとまなし。ちょっとした言葉の綾が
日常の切り取り方を、にわかに時代がかったものに変化させました。


【佳作】
たこ焼きさんへ――
まんまるのほらあなの中ころがされよっても吐くなよ中のたこを
(本校現中二・塩見さら)

わはは。
「大阪人ここにあり」の存在感。
たこ焼き宛ての短歌とは、実にふるっていますね。
あれだけ転がされたら気持ち悪くならないかな、という
視座を転じた想像力のダイナミズムが光っています。


【佳作】
大きくなった私へ――
幼い頃サンタが来たけどいつか私も誰かのサンタになれるでしょうか
(本校現中二・西村ひなた)

うーむ。これは、雰囲気あります。
上の句は五七五の型から溢れていますが、
そこにもまた、「大きくなる前の私」の切実さが宿っているような。
イメージを大きく未来に飛ばすスケールが美しい佳品。


【佳作】
家族へ――
声変わり 家族のみんな喜んで 照れくさいからおどけて声出す
(本校現中二・前川将孝)

平明なればこそ、男の子のいる親御さんが鑑賞したら、覿面にグッときそうな歌!
宛先は「家族」。「おどけて声出す」という宣言は内向きな独り言ではなく、
素直になれない自分を分かって欲しいという、とても素直なメッセージなのでした。


なるほど。
「字を丁寧に」としか言わないということは、
生徒の持ち前のユーモアや素直さを邪魔しないということ。
一人ひとりの輝きを殺さぬ指導が、神髄のようです。
私にも、達人の指導ぶりに襟を正すよい機会となりました。


本校生徒諸君ののびのびとした表現と、
緩急自在の金蘭千里の授業に、これからもご期待下さい。